水が濁るのは立ち上げ方を間違っている証拠。

水槽の立ち上げが正しいかどうかは水が教えてくれます。

水槽や器具を買ってきて、言われた通りにセットしたのに、次の日から何だか水が白く濁り初め、その翌日にはまっ白に。水を換えて、少し透明になったかなと思っても、一日たったら、また元通り。

バクテリア剤を入れても水質調整剤を入れてもいっこうに改善する気配もなく、そうこうしているうちに熱帯魚のヒレが何だか病気っぽくなって、水草も少しづつ枯れ始め、魚もいなくなり、たた白く濁った水だけが虚しく流れているばかり……。

これは完全に誤った水槽の立ち上げをしてしまった場合に起こる現象です。

このような水槽の立ち上げをしてしまう人の知識は、だいたい次のようなものであることが多いです。

  • 熱帯魚を飼育していると、アンモニア(強い毒性)が発生して、それが濾過バクテリアによって亜硝酸塩(強い毒性)になり、更に別の濾過バクテリアによって硝酸塩(弱い毒性)になる。このため、濾過器(フィルター)の中に濾過バクテリアを殖やし、できるだけ早く毒性の弱い硝酸塩にする仕組みを作る必要がある。(正しい知識です。)
  • 濾過バクテリアはアンモニアがないと殖えないので、水槽をセットしてすぐにパイロットフィッシュを入れて、濾過バクテリアが少しでも早く殖えるまで待つ。(間違った知識です。水が白く濁ります。濾過バクテリアの主役であるニトロソモナスやニトロバクターはアンモニアが多ければ早く殖えるということはありません。それに対して水が白くなる原因となる種類のバクテリアはアンモニアが多いほど爆発的に増えます。)
  • パイロットフィッシュを入れて一週間はこまめに水換えを行うのが良い。(間違った知識です。熱帯魚の体力がとんどん消耗していき、免疫力が落ちて、特に尾ぐされ病など、健康な魚であれば病原菌がいても感染しない常在菌による病気にかかりやすくなります。)
  • 水槽に熱帯魚を入れたその日にはエサを与えない方が良い。(正しい知識です。)
  • パイロットフィッシュは水槽を立ち上げるために最初に入れる熱帯魚のこと。(間違った知識です。パイロットフィッシュは海水魚水槽で使われる用語です。熱帯魚の飼育で水槽を立ち上げる場合や、海水魚でも同じ役目をする魚はスターティングフィッシュと呼ばれます。パイロットフィッシュもスターティングフィッシュのひとつですが、濾過バクテリアが殖えた頃、つまり立ち上げた後の水槽の安全を確認するのが主な目的です。)
  • 濾過バクテリアは熱帯魚の数に応じた量だけ殖えるので、新しく熱帯魚を入れたら、またその数に合う分だけ濾過バクテリアが殖えるまで待たなくてはならない。(誤った知識です。濾過バクテリアの数は熱帯魚の数とは無関係です。濾過バクテリアは熱帯魚の数に合わせて殖えるわけではなく、あくまでマイペースで殖えていきますので、入れる熱帯魚の方を濾過バクテリアの数に合わせる必要があります。)
  • 熱帯魚が減ってアンモニアが減ると、濾過バクテリアも減っていく。(誤った知識です。先にも述べましたとおり、濾過バクテリアの数は熱帯魚の数とは無関係です。ただし、塩素など殺菌作用のあるものに触れたり、酸素がなくなると減ってしまいます。)

いかがでしょうか?こんな勘違い、していませんか?

それでは実際にどのような水槽の立ち上げが良いのかを解説してみたいと思います。

  1. 水槽と器具を正しくセットして、水を入れます。濾過器の中に他の水槽の濾材をひとかけらで良いので入れます。なければ次へ。
  2. 濾過器を回したまま、1日ほどそのままにしておきます。水槽の環境が、物理的、化学的に安定します。
  3. 水草や流木など、他の水槽に入っていたものを入れます。濾材に他の水槽の濾材を入れなかった場合には、特に重要になります。濾過バクテリアは濾過器の中にしかいないわけではありません。草であろうとガラスであろうと石であろうと、何にでも付着します。ただしその量は濾材に比べると微々たるものですが。
  4. このまま数日ほど様子をみます。水草を入れすぎたり、濾材の質によっては水が濁ることがあります。この場合はいったん水だけを全て取り換えます。
  5. 余裕があれば、水質検査キットでアンモニアと亜硝酸塩の値を計測してみます。多少は検出されても大丈夫です。熱帯魚は毒性の強い亜硝酸塩にもかなりの耐性があるため、亜硝酸塩が多少あっても、そう簡単には死んだりしません。むしろ過度の水換えなど、ストレスの方に注意します。
  6. 水の濁りがなくなったところで、メダカくらいの大きさの熱帯魚を10リットルあたり2匹くらい入れてみます。水温は2時間かけて合わせます。水質も同様にゆっくりと水槽の水を加えて合わせます。最初ですから、慎重に。当日はエサを与えないようにします。また、できるだけ暗くして、ゆっくりと休ませてあげます。
  7. 二日目くらいから、すぐに食べきるだけのエサを与えます。最初の一ヶ月は水換えをしないようにします。ただし、もしコケが生えてきたり、水が少しでも濁ってきた気がしたら、数日は一切エサを与えずに様子を見て、改善されないようなら4分の1ほど水を換えます。
  8. こうして一ヶ月くらいすると、少しだけ熱帯魚を追加しても大丈夫なだけの濾過バクテリアが殖えてきます。熱帯魚を追加したら、その数に応じて、1〜2週間に一度、4分の1くらいの水を換えるようにします。
  9. 水換えをしていてもコケが生えてくる場合はエサを少し減らしてみます。それでもコケが生えてくる場合は水質検査キットで硝酸塩を計ってみてください。値が高いようなら濾材を掃除します。このとき、絶対に水道水や冷たい水では洗わないように注意します。濾材は必ず水槽の水で軽くゆすいだり揉んだりするぐらいにとどめ、強くこすったり何度も揉んだりしないようにします。ただし物理濾材と吸着濾材は交換します。